環境意識の日常化が進むフランス
報告者:千葉商科大学 准教授 影浦 亮平
私は、フランスのストラスブール大学に2004年から2012年まで在籍していましたが、職場の在外研究制度を活用し、2024年4月から1年間、もう一度、ストラスブール大学の招聘研究員として在籍できることになりました。
ストラスブールの旧市街はユネスコの世界文化遺産に登録されており、古い街並みが残されています。したがいまして、久しぶりにストラスブールに来ても、街中の雰囲気にはさほど違いを感じませんでしたが、私がフランスにいない間に、フランスではパリ協定が結ばれていて、おそらくはその帰結であると思われる、環境に対する人々の意識の変化、施策の変化をたびたび感じる機会がありました。

オリンピックの聖火マラソンの様子
ランナーは元サッカー監督のベンゲル氏
ストラスブール生活を始めてからしばらく経つと、玄関先にコンポスト用のかごと紙袋の束が置かれていました。小さい説明書も付いていたので、それを読むと、かごに紙袋を広げて、それに生ごみを溜めて、街中にあるコンポスト用の回収箱にその紙袋を放り込むというのが一連の流れであることが把握できました。

コンポスト用のかごと紙袋の束
そういう目で、街を歩いていると、たしかに、至る所にコンポスト用の回収箱が設置されていることに気づきました。そういうわけで、私もコンポストを始めてみましたが、要は生ごみだけ別の袋に集めて、別のごみ回収場(徒歩3分の距離)に持っていくだけなので、さほど負担感がなく、外国人ながらも私も一市民としての責務を果たらすことができたというある種の満足感まで得ることができたように思います。

コンポスト用の回収箱
基本的に自炊生活を送っていましたが、時に自分で料理を作りたくないと思う日もありました。そういう日は、どこかの店で調理してある食べ物を買って帰るわけですが、持ち帰りで注文すると、ビニール袋に食べ物を入れてくれます。このビニール袋をよくよく見ると、「biodégradable」と書いてあります。すなわち、地中の微生物によって分解可能な袋だということです。ビニール袋と同じ質感ですが、材料は実はビニールとは違って、環境に対して配慮された素材になっていることに気づきました。どこの店で買っても、「biodégradable」の袋を渡されるので、そういう法律があるのだと想像します(調べてみると、2004年1月からそういう法律が機能しているようです)。

環境に対して配慮された素材のビニール袋
また、ストラスブールは「クリスマスの首都」と自称して、クリスマスシーズンの観光に力を入れている街です。クリスマスシーズンになると、街中の広場には出店がたくさん出ます。そこでホットワイン(日本酒の熱燗のワインバージョンという理解で良いかと思います)をたしなむのが定番で、寒い日の一杯はなかなかたまらないものがあります。そのホットワインなのですが、私が学生の時は、確実に使い捨ての紙コップ(あるいはプラスチックのカップ)で提供されましたが、今回、久しぶりにホットワインを購入してみると、使い捨てではない、しっかり目のプラスチックのコップで提供されました。値段は4ユーロと表記されているのに、5ユーロを請求されたのですが、お店の人曰く、このコップ代分で1ユーロが上乗せされていて、所定の場所にこのコップを返すと、1ユーロが返ってくる仕組みだと説明されました。ホットワインにまで、ごみを減らそうとする工夫があることを目の当たりにし、時代の変化を感じました。

再利用可能なプラスチックカップで提供される
ホットワイン
他にも色々と挙げることができますが、フランスにおける環境意識の日常化を日々体感する一年でした。