岡山市で実施したESD コーディネーター研修は、ESD 推進の拠点である公民館職員を対象とし、OJT型で行いました。これまでも公民館職員対象のESD研修を継続的に実施してきましたが、今年度は基礎である「企画力アップ」を目的として実施しました。
公民館の活動自体がESD と重なっている部分も多く、第1 回目の初日は「公民館をどう捉えているか?」を、志賀誠治さん(人間科学研究所)のファシリテーションで考えていくことからはじめました。そして翌日は、地域課題の見つけ方や抽出方法などを学びました。
それぞれの公民館で課題を把握してくることが宿題となり、それを持ち寄って2 回目の研修を受けました。ここから、生みの苦しみの始まりです。企画の作法を学び、それぞれが次年度に実施する事業を企画書に落としていきます。企画書作成に足りない部分や、グループでの意見を踏まえて、再度それぞれの公民館に持ち帰り、分析と内容の検討を重ね、3 回目の研修では作成した企画書の発表会を行いました。
みんな、地域の文脈を読み取りながら、何度も聞き直したり、書き直したりしながら完成させた企画書なので、発表後の意見交換は、とても活発で有意義なものとなりました。
研修の最終日は、今回の企画書に「ESD」という視点が入っているかどうかを「ESD めがねをかけて見直す」というワークショップで行いました。このことで、各自がESD の視点には何があるのか。についても考えることにつながり、多角的な視点で企画書を見直すことになりました。今回の研修では、「チームで取り組む」ということにも力を入れました。研修は公民館の開館日に行うため、参加できる職員は一人です。これまでも参加した職員が館に戻って報告・共有してはいましたが、今回は「館としてチームで取り組んでいきましょう」と最初から決めて進めました。
研修で学んだことの共有だけでなく、研修と研修の間にある地域課題把握・分析などをそれぞれ工夫してみんなで取り組んだことで、館としての団結が深まったり、次年度、事業実施がしやすくなったと思います。研修が終わったときの達成感や、評価のときの意見についても、チームで共有することとなり、「今までの研修の中で一番大変だったけど、とても充足感がある」というふりかえりがありました。
また、それぞれの公民館職員がチームとして取り組むのを、ESD 担当者と連携してチームとなってフォローしていく「しくみ」が、OJT 研修を進める上で必要だとも感じました。参加者も企画者もとても大変な半年間でしたが、今ではこれをどんな形で進めていこうかとワクワクしています。