今の時代だから求められるコーディネーター
さまざまな「コーディネーター(coordinator)」が、各方面で活躍しだしています。インテリアコーディネーター、ファッションコーディネーターなどは古くから知られていましたし、実はボランティアコーディネーターも大阪ボランティア協会が養成講座を始めたのは1976年。かなり歴史があります。
このコーディネーターが担うcoordinate の原義は、本誌の冒頭にあるように「対等に結びつける」こと。近年、この役割が各方面で重視されるようになってきたのは、さまざまな人や組織、要素などを把握し、それぞれの立場や状況を調整しながら結び付けていく必要が高まっているからです。
なぜか? 良く言えば「専門分化」、悪く言えば「タコ壺化」や「対立」ないしは「孤立」が広がる中、「つながらない」状況が深刻化しているからです。だからこそ、「つなぐ」存在が大きな意味をもつようになってきました。
また、ESDコーディネーターは人々の「学び」を通して「持続可能な社会づくり」を進めますが、そのキモは「学びを通して」という点でしょう。「学び」を重視することは人々が変わり得るのだと信じることですし、学んだ人々が主体となって状況を改善する未来を目指すものでもあります。つまり、あらゆる人々の主体的な参画によって事態を改善していこうということ。
この姿勢は、社会問題を解決していく上で、広く共有されるべきものだと思います。
こんなESDコーディネーターの各方面での活躍を期待しています。
早瀬 昇(ESD-J 基盤強化プロジェクトアドバイザー)
1955年、大阪生まれ。
日本NPOセンター代表理事、日本ファンドレイジング協会副代表理事、環境市民理事、「新しい公共」推進会議構成員、関西大学客員教授なども務める。
『寝ても覚めても市民活動論~ミーティングや講座の帰り道に読む35の視点』(大阪ボランティア協会)など著書多数。